抜刀される五右衛門刀

「障害とは何センチの敷居だろうか・・・この世は空に届くまである」

来名:アマテラス

森羅万象の摂理とシンクロする神器「スヴァリンの楯」は急速に大地を氷結させていた。

■絶対零度・・・全ての量子が活動を停止させる。
マイナス領域はゼロに至る速度を毎秒毎分で数字化しており事実上「絶対零度」以下は存在しない。重力磁力のある地上では観測できない。

ダ──;..:.;(+´・ω・)──→ァ?

「D・アーブルは・・・地下に返そうかと」

漂っていた冷気がヘルの領地まで及ばない距離があるが、ニーズヘッグが声を上げる異例の事態。様子を見に出掛けているヘルは、異質な世界観を感じ始めていた。

■五右衛門刀・・・龍神を写した鞘「時定」に納まっている。
刀身を見た者が未だにおらず、封入である鞘から抜いた際には竹光であるという噂もある。一説によると黒炭のように黒いらしい。

人間色をまだ残しているヴァルは、急ぐように神器の召喚を繰り返していた。早ければと感じ取れる局面に、来名:アマテラスは1手に派生を含ませた牙突七閃を見せている。神器の特性にあった完全回避で対応されながらも食い下がったようだったが、遂には止められている。

ただで起きるはずもない仕掛け算段の神にも位置している麻呂。まさかの2回目のスカという惨事になるかもしれない。
ブリーシンガメンによって、手数が合わない状況も目の当たりにしている。戦況は、五右衛門刀を使用する来名:アマテラスと、続々と神器を装備するヴァルの特性のタクティカル戦になっていった。

■世界排除域から見るラファ
「あの踏み込みと構えは・・・居合い抜刀術。最初から抜いていない点が既に予想外になっているはずだが・・・」

ヴァルハラとゆかりのある者以外の上陸に、本当にあるかのような不穏な空気が漂い密かに異常発生を伝えていた。

■遠くから見ているヘル
「沸点・・・爆炎・・・塵か・・・いや・・・岩盤溶解・・・第9層レベル」

異常な空気伝線を感知していたヘルが急速にテリトリー拡大を始める。

地面が割れる地響きのような叫び声をあげると、ドラフルートは成獣の姿に拡大していきながら空に飛び立っている。

ウルズ
「テラ・フィアー」

どこからともなく差し込む光熱の光が戦神の目の前の大地を焼き変形させた。竜宮城の一角も溶けて崩れている。

戦神のほど近くに光が降り・・・それを遮る形で影が現れた。

超越現象・・・把握と網羅周到によると熱量は含有・加算で処理される。

刀を抜く直前で止まったように押し迫ってくるのだが・・・。

ヴァル
「岩盤蒸発点・・・受けてもまだ後にも・・・」

レオ
「抜くのはいつでも間に合う神速の最中では・・・」

ラファ
「タイミングが・・・」

レオ
「刀身のリーチからも不自然な距離・・・お互いが背負った賭け事に見える・・・」

お互いの「神の一手」は刹那よりも短い時間で白い煙を爆発させて衝突した。

麻呂
「抜刀・・・」

ヴァルの前には割れた氷の障壁とヒビが入っているのも含めて何枚にも重ねられているようだった。白い煙の中で五右衛門刀は黒い姿を見せていたが止められたかのように見える。

ラファ
「止まっているようだ・・・いや五右衛門刀が動く!」

目の前で勢いが止まったように見えたが、戦神には既に構えもある。

レオ
「神器バハムンク・・・壁にもできる大剣の類だな」

■オン・ハンド・ウェポン・・・右手と左手の両手に2つを持てる。

「差し向けたドラフルートは何を・・・ヴァルよ・・それを受けてはならなかった・・・」

麻呂
「ブリーシンガメン・・・近寄って目視圏内に入れば次の手を奪い、その間に片手に神器を忍ばせる寸法であろう。2手あろうとも我は1手でよい。天とはそういうもの」

「テラ・フィアー」光熱の鉱物溶解を超える温度とは・・・?
一瞬即発の万物の蒸発点を宿す五右衛門刀の刀身は、その姿を現すがすぐに煙に巻かれる。目撃者は相変わらずいない。その由縁とは・・・大気に触れるや否や大気に含まれる水分を蒸気化する極限の温度にあった。空気の炭素化が常に行われ、ススが常に付着して黒いとも言われている。材質は未だに分かっていないが太陽の熱でも溶けない黒鉄と言われている。

ヴァル
「これは・・・絶対零度の氷の障壁が豆腐のように!?」
刀身と触れるなり蒸発を繰り返す楯には壁となる機能は既に存在しなかった。
鞘から抜かれた異常高温の出現による大気膨張が周囲を占める。
神器スレイプニールの圧縮と相殺を繰り返している。

ヴァル
「見えない・・・!?このスチームは・・・辺り一面が見えない!?」
スヴァリンの楯が一面に対抗する零度を張れば、その分だけのスチームが上がる。
何も見えない霧が発生して神器バハムンクは召喚されていた。

ヘル
「何やらチートとしか思えぬ・・・そんな神が・・・」

レオ
「知らんでもない・・・」

ヘル
「我の耳にも聞こえてはきている。道理で・・・」

ラファ
「う~ん・・・あの刀は地表の大泥棒と関係があるといつも思ってしまう。知る限りでは身ぐるみを全て引っぺがすとの噂も」

レオ
「・・・・・・」

麻呂
「サテハテ・・・次の手はそちらの番では?」

ヴァル
「2対2の相殺劇は見事でした。ここからは・・・」

爆発した水蒸気は上昇気流にて急速に雨雲を作っていた。
誰が差し向けたわけでもない。ここに積乱雲が生まれ豪雨が降り始める。

麻呂
「何はなくも・・訪れには逆らうも従うもない。3手目に抗うものとは?」

神器スレイプニールは大気膨張によって無効化を迎えた。
神器ヴィドフニルは荒れ狂う気流で役に立たない。
神器ブリーシンガメンは曇り空に輝きと反射を無くしてしまった。
神器メギンギョルズは雨に濡れ重くなり体にまとわりつく反作用に。

ヴァル
「バハムンクが重く感じる・・・持てない・・・」

九尾の狐
「アーマーブレイク!?ここなのか・・・我が心待ちにしていたのか・・・灯籠流しのランダム性・・・極地の紫外線照射・・・積乱雲の発生・・・全て自然現象が絡んでいるとは分かりえるものだが・・・」

九尾の狐は解析の後に自己出版を書こうと企んでいた。

ラファ
「ランダムを持ってこれるようですね・・・」

レオ
「それよりもここは・・・式術による4つ目の要素も・・・」

あらゆる感情が複雑に絡み合ってきた・・・の、筋書きをたどる戦神ヴァルキリー。
戦神という仮面をかぶったその裏側に古来より伝わる素顔を見せる。

ヴァル
「ハッ・・・・・・私に人間の悪戯であるロキは出ません」

麻呂
「・・・」

九尾の狐
「・・・・・・」

ニーズヘッグ
「そうなの・・・?」

2回目になったかもしれないが、この現象はニーズヘッグの背中での出来事である。知っていて当たり前の・・・というターンが、以前にも増して訪れた。今回も予定外となるのか、それとも万事を期した勝算があるのだろうか・・・・?

麻呂
「・・・・・・・チラッ」

九尾の狐
「・・・・・・・チラッ」

ラファ
「・・・・・・・えっ・・・私!?」

乞うご期待!

歴代の偉人と出来事から、新たな視点を見つけ出して描写しています。重々しい世界から離れて、史実でもある情報を、紹介しています。